リアルな車選びをする現代
「こいつを買えば、オレにはこんなステージが待っている」といったイメージを、現実感を添えてハッキリさせるということです。
例えば、艶然と微笑むイブニング・ドレス姿の母親らしき女性と、タキシードで身を固めバイオリンを抱いた子供がコマーシャル・バンを飾り立てただけの1ボックス・ワゴンの対向シートに向かい合って座っている・・・
この種のカタログはいまだによく見かけますが、まるで掘っ立て小屋の中でフランス料理を食うといったような・・・
あまりにも現実感に乏しい、貧しさ剥き出しのメンタリティから生まれたクルマは、今後はきっと見向きされなくなるだろうということです。
中古車情報が多いことや夢を見せることは大事ですが、それが見果てぬ夢でもなく、馬鹿げた夢でもなく、
「ああそうか。こいつと付き合えば、こんな感じになるんだな!」
・・・といった、現実感の上に立った夢を見せることが必要だと私は考えているのです。
たとえば小型4ドア・セダンについて考えてみましょう。
小型4ドア・セダンといえば、手頃な価格で買えて、低いランニング・コストで維持できて、4人が狭苦しさを感じずに座れるキャビンをもち、誰にでも運転しやすくて、そこそこの性能と快適性を発揮する・・・
そんな内容を、スタイリッシュで立派に見えながらも決して前に進みすぎてはいないデザインで包み込むといったところが基本的な骨格になっていたはずです。
その骨格の上に、"個性"という名のほんの小さな飾り枠をはめれば「出来上がり」でした。